【人工芝が焼けて縮んだり色褪せる!?】窓ガラスの反射熱による反射光害とは?

近年では、新築の物件に熱遮断効果の⾼いガラス製品の設置が増えています。

このような⾼品質のガラス製品は室内に⼊ってくる光や熱を反射させ、従来の製品と比較したときに、反射熱の温度が⾼くなることが考えられます。

では、実際に反射光害を受けたケースや、その対策についてご紹介します。

実際にあった反射光害

まずはこちらの写真をご覧ください。

こちらは弊社で施工を担当させていただいたお客様のお宅で、実際にあった反射光害によるものです。太陽の反射熱によって、緑色の長い芝葉が縮んでしまい、黄色の短い枯芝が見え、このように一部だけ色が変わって見えます。

施工に入る前の現場確認の時点で、担当スタッフが窓ガラスからの反射位置に気づき、お客様に「こちらの部分に反射熱が集まりやすく、芝葉の縮みや色褪せが起こるかもしれません」と事前にお伝えしており、ご了承の上で施工いたしました。

その数日後にお客様よりご連絡をいただき、やはり担当スタッフからお伝えした通りになったとのことで、確認に再度お伺いしました。

(撮影と掲載許可をいただき、ご協力ありがとうございました!)

そもそも反射光害って何なの?

熱線反射ガラスや断熱ガラスなど、熱遮断効果の⾼いガラス製品がある場合、ガラスの反射熱で緑⾊のパイルが縮んでしまうということがあります。

また、このガラスの反射熱で「塩化ビニール製のデッキが歪む」、太陽電池パネルの反射光により「家の中に⽬も開けられないほど眩しい光が差し込む」「光によって居室内の温度が上昇する」などの被害もあり、まれに訴訟となるような事例もあったようです。

このような現象は、過剰かつ不要な光によって起こりうる公害であり、これがいわゆる「反射光害」なのです。

反射光害が起こる原因は?

近年、ご家庭の窓には、表面にLow-E膜という特殊金属膜(酸化錫や銀)の加工が施されている、Low-E複層ガラスが多く使用されています。

このガラスにコーティングされた被膜が、太陽の熱や部屋を暖房で暖めた熱を吸収・反射し、それによって夏には暑さを和らげ、冬には暖房効率を高めるなど、室内の快適性を高めることができるのです。

しかし、この被膜が太陽光を反射させることで、人工芝の表面を高温にさせている要因となっているようです。

断熱効果を高めるため2枚、3枚と複層構造になったガラスが、虫眼鏡のレンズのような役割を果たして火起こしの原理が働き、光を集中させることによって人工芝を溶かしてしまうのです。

人工芝の素材に使われているポリエチレンの耐熱温度は約90度とされ、融解温度は95~130度ほどと言われており、90度を超えると溶けてしまいます。

またガラスの反射熱による⼈⼯芝が縮む現象については、夏場だけに発⽣するとは限らず、太陽光の差し込む⾓度や⽴地条件などによって、反射熱が集中する状況がそろえば発⽣すると考えられます。

どうやって対策する?

とはいえ、すでに建築されている物件では、これから窓の位置を動かすことはできませんよね。

それでは、どうやって対策すればいいかご紹介していきます。

熱反射率の低い窓ガラスに変える

一番の解決策は、窓ガラス自体を熱反射率の低いものに変えることです。

そうなると、高い費用もかかるため迷われるかもしれませんが、人工芝の縮みや色褪せの起こった箇所を部分的に張り替えたとしても、また同じようなことが起こりかねません。

何度も人工芝を張り替えると、かえってコストが高くついてしまいます。

日除けやサンシェードをつけて太陽光を遮る

窓ガラス自体を変えるより簡単にできるのは、日除けやサンシェードをつけて太陽光を遮ることです。

こうすることで、太陽光の反射を抑えることができ、反射熱が人工芝に集まることを防ぎます。

すりガラスのような保護フィルムを貼る

太陽光を反射させないよう、すりガラスのような保護フィルムをガラスの外側に貼る方法も考えられます。

そうすることで、ガラスにコーティングされている被膜をカバーして、日除けやサンシェードと同様に、太陽光の反射を抑え、反射熱が人工芝に集まるのを防ぐことが期待できます。

人工芝を施工する場所の状況を⼗分に確認する

人工芝を施工する前に、施工する予定の場所を十分に確認しましょう。

熱遮断効果の⾼いガラス製品を使用している場所から、人工芝に反射熱が集まるおそれがないか、状況をしっかりチェックしておくことも大切です。

可能であれば、施工する位置の変更なども検討する必要があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

こんなことがあるの?!と驚かれた方もいらっしゃるかと思います。

快適性を高める窓ガラスの技術的な進化と、ここ数年にわたる異常とも言える猛暑が、思いがけずこんなところで影響を及ぼすとは驚きですよね。

ですが、弊社の施工スタッフも施工前に必ず現場を確認しますので、気になる方はぜひお気軽にご相談ください。

今後、人工芝をご検討いただく際のご参考になれば幸いです。